2000年度 9 102
ジャンル3 
記事タイトル大いま中小企業のルネサンスを 
記事タイトル中全中会長井上氏組織化を語る 組織化がますます大切に 
記事タイトル小日本経済で重要な役割を果たす 
著作者 
記事内容
 私は、三十歳で終戦で帰ってきてからすぐ、故郷の静岡県で青果物市場組織の仕事に飛び込み、以来約五十五年間、中小企業の組織化の仕事にとりくんできました。
 静岡県の全域で任意商工会をつくるところから始め、戦後の荒廃の中から復興のために立ちあがり、多数の中小零細企業が、経営資金や資材、経営指導などを求めて運動に参加しました。
 高度成長を底辺で支える  一九四八年に中小企業庁が設置され、四九年に中小企業等協同組合法が制定されたころは、企業が乱立し、過当競争をしていた無数の中小企業が、共同してともに栄えようという気風が強く満ちていました。
初代中小企業庁長官は蜷川虎三さんで、後に同氏は京都府知事となり、中小企業政策に不動の功績を残しました。
 その後、六三年には中小企業基本法が制定され、中小企業が国民生活と日本経済に果たす重要な役割が初めて認められました。
 中小企業は、質の良い労働力を確保して、効率・高品質の製品を生産し、日本産業の高度成長を底辺から支えてきました。
 それらはみな、中小企業の生きるための努力・情熱、常に新しいことに挑戦するチャレンジ精神があったからこそだと思います。
 しかしいま、経済のグローバル化(地球規模化)やIT(情報技術)革命をはじめとする技術革新などの産業構造の変化に不況などもあって、中小企業は、みずからの製品開発・みずからの市場開拓を目指して新たな挑戦にとりくまなければ、生き残れなくなりました。
 このなかで政府は、事業者の経営革新、創業、ベンチャーなどを促進することで中小企業の再活性化を図る政策を打ち出しました。
 資金や情報などに制約  企業の経営革新や新事業の展開は既存の中小企業にとっても意欲をもってとりくむことが必要です。
これから中小企業にとっては組織の重要性がいっそうますのではないかと思っています。
 というのは、中小企業が新しい製品開発、新しい事業にとりくむ際に、資金や情報など経営資源に制約があり、自企業だけでとりくめる者はそう多くありません。
連携・共同が必要です。
ここに中小組織の存在意義があります。
 つまり、事業協同組合など中小企業組合には、相互扶助の精神や協同の意識などにより、中小企業がそれぞれのもつ技術や蓄積、人材や情報やアイデアなどを相互補完する機能があるのです。
 組合自身も新しい感覚で、経営の効率化や技術革新などをおこない、地域に根付いた活動で、現代の課題に合わせて本来の組合の力を発揮してもらいたいと思っています。
 実際に各地で組合による新しい事業へのとりくみも始まっています。
私ども中央会は、このような力強い組合の新たな取り組みを積極的に支援していきたいと思っています。
 多くの中小企業には、苦しいけれどもいま、戦後復興のなかで手をつなぎながら、自分たちの手で荒廃のなかから立ちあがってきたようにもう一度、中小企業のルネサンスをつくりだそう、と訴えたいと思います。
(七月二一日(金)「赤旗」転載許可)
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